インフゾリア・ゾウリムシの基本ガイド。管理・培養と給餌方法

インフゾリア・ゾウリムシの基本ガイド。管理・培養と給餌方法

稚魚の餌に使用するインフゾリア(ゾウリムシ)の概要や、増殖方法・稚魚への与え方・注意すべきポイントなどを解説。

目次

インフゾリアとは?

水槽内で勝手に湧いたインフゾリアとクラウンキリーの稚魚と指のサイズ感
白い粒すべて動いているインフゾリア

インフゾリアとは、稚魚のエサにできる微生物の総称です。

とはいえ水槽内に稚魚のエサに適したインフゾリアが発生・定着するかどうかは運次第であるため、稚魚のエサとしてちゃんと用意するならインフゾリアのうち「ゾウリムシ」を用います。

よって繁殖愛好家にとってはインフゾリア=ゾウリムシを指すことが多いです。

ゾウリムシ(インフゾリア)はブラインシュリンプと比べてかなり小さいのが特徴で、泡巣アナバス・カラシン類などのブラインが食べれない極小稚魚の初期エサとして活躍します。

インフゾリア(ゾウリムシ)とブラインシュリンプの大きさ比較

ブラインシュリンプよりも小さい活エサは他にもありますが、ゾウリムシは大きさ・動きが良く、培養が簡単でエサをやらずとも1~2週間程度は持ち維持管理しやすい点がメリットです。(縦横無尽に動いてくれます)

このためブラインが食べれない魚種の稚魚にとっては、ブラインに並び定番の活エサとなっています。

ゾウリムシの入手

増殖したゾウリムシ

ゾウリムシは池・草木がある箇所の水たまりなどで採取可能なものの、何度かの試行錯誤が必要になるかと思います。

当然ですが水を採取すればどこでもゾウリムシが採れるワケではないので、別の微生物を採取してしまったり、採取に成功したもののゾウリムシを食べる生き物(ミジンコなど)も同時に採取して培養がうまくいかないことも少なくありません。

池からとってきて培養した極小の微生物
池から採ってきて培養できたインフゾリア。培養できたがゾウリムシではない・・・。
ゾウリムシと池から採取して培養したプランクトン

上記は池からゾウリムシを採取しようとした際に意図せず培養したインフゾリアですが、ゾウリムシよりもかなり小さくエサとしては不適切です。

このようにゾウリムシの自然採取は運に恵まれない限り、何度も試行錯誤する必要があるのがネック。近場に良いポイントがあればすぐに試せますが、特に都会だと中々難しいでしょう。

幸い今は通販でゾウリムシを簡単・安価に入手できますので、それを種として導入するのがオススメです。

ゾウリムシの培養・管理方法

それではゾウリムシの培養方法を解説していきますね。

培養容器と種親の投入

ゾウリムシの培養容器たち

ゾウリムシの飼育容器として「ペットボトル」などの容器を用意します。容器は何でも良いのですが、エサを入れた後振って撹拌できることと入手が簡単で使い捨ても可能なので基本的にはペットボトルが良いでしょう。

ペットボトルにカルキ抜きを行った水(汲み置きが良い)を7~8割程度入れ、種親となるゾウリムシを少量投与すれば完了です。

フタをしてしまうと増えた時に酸欠になってしまうため、フタはしない・もしくは乗せるだけにしておきます。

上写真では水作のコレクションケースMに入れていますが、こうすれば転倒を予防できるのでオススメです。

エサの投入

ゾウリムシのエサとしては「牛乳」「エビオス錠」「豆乳」「ドライイースト」「米の研ぎ汁」「生茶」などが適します。

エサが適量な場合、1日2~3回も分裂して倍々に増えていきます。

エサの種類によっては与え方が少し異なるので、本記事では比較的どの家庭でも入手しやすい「牛乳」「豆乳」と、爆増が簡単な「エビオス錠」による給餌方法を例にとって解説しますね。

牛乳・豆乳による培養方法

ゾウリムシ容器に牛乳を1滴、ペットボトルに入れている

500mlペットボトルの8割程度の水に対し、牛乳・豆乳をスポイトで1滴程度投与して撹拌します。

投与直後はほんのり白濁しますが、1~3日でゾウリムシが白濁を食べて水が透明になりますので、そうしたら再度スポイトで牛乳・豆乳を投与し、それを繰り返してゾウリムシの数を増やしていきます。

ゾウリムシの量が十分増えてきましたら牛乳1滴→2滴とエサの量を増やすとより増えます。

注意点として、牛乳・豆乳は一度に多くを投与してしまうと水が腐ってゾウリムシが全滅してしまうので、極小量をこまめに与える管理方法が基本です。(ほんの薄く色づく程度でOK)

ゾウリムシ容器に牛乳を入れた
初期ならこれで多すぎなぐらい。数に対して過剰に投入すると全滅したり腐ったモワモワが出やすいので注意。

後述するエビオス錠と比べて手間はかかるものの、エサ量が適切であれば腐ったモワモワが出にくいので比較的キレイな水・不純物のない状態でゾウリムシを増殖しやすいのが良いですね。

エビオス錠による培養方法

エビオス錠

500mlペットボトルの8割程度の水に対して、エビオス錠1/2~1/4錠程度投入します。

投入後しばらくするとエビオス錠がふやけてくるので、ペットボトル容器をシェイクしましょう。シェイクしなくても増えますが、増える初速が少し早くなります。

後は放置で良く、3~7日後には大量のゾウリムシが見られます。

エビオス錠は過剰状態でも水が傷みにくいので、欠片を投入するだけでそのままずっと増えていきます。つまり牛乳・豆乳と比べて管理は非常に楽なのがメリットですね。

ライトで照らしてゾウリムシを確認している様子
一件増えたか分かりにくいゾウリムシであるが、ライトを後ろから照らすと見えやすい

新しい容器への移し替え

キレイなゾウリムシ水と汚いゾウリムシ容器

ゾウリムシはエサを与え続けていると、水が汚れて沈殿物も増えてくるため、どこかのタイミングで腐って全滅ということが起こります。

エサの種類にもよりますが、目安としては1~3ヶ月程度で新容器への移し替えが必要です。

1個の培養容器ではタイミングを掴めずに絶えやすいので、全滅してもリカバリーできるよう複数容器で培養するのがゾウリムシの基本です。どこかのタイミングで複数の容器に分けておきましょう。

1つの培養容器で一度絶えるのを確認すれば、大体どの程度でダメになるかを把握できますので、それを経験すれば必要なリセット頻度が分かると思います。

ゾウリムシの与え方

ゾウリムシの培養水は汚いのと、稚魚水とは水質が異なるためブラインシュリンプ同様濾して与えるのが基本です。

1. 濾し器で濾す

コーヒーフィルターとゾウリムシ

ブラインシュリンプ用の濾し器だと目が荒くて通過してしまいますので、ゾウリムシは「紙製のコーヒーフィルター」もしくは「ワムシ・ゾウリムシ用ネット」を用います。

受け容器にセットしたコーヒーフィルターにゾウリムシ入りの水を注いで、ゾウリムシを濾しましょう。

ゾウリムシをコーヒーフィルターで濾している様子
日常的に使うならコーヒーフィルターよりゾウリムシ用のネットを買っておくと楽

2. 稚魚飼育水で洗い流す

次に稚魚の飼育水をスポイトで取り、濾し器に飼育水を流してなるだけ綺麗になるよう洗浄します。

ゾウリムシ水を稚魚水で洗浄している様子
側面に付着したゾウリムを洗い流すよう上からグルっと洗い流す

稚魚の汚水耐性・ゾウリムシ水の汚さにもよりますが、基本的には何度か飼育水で流して洗浄しておくのが良いです。

3. スポイトで吸う

コーヒーフィルターにゾウリムシと稚魚水がある状態から、スポイトで吸って稚魚に与えます。
(コーヒーフィルターは水が抜けるのが遅いので、抜けきる前に吸ってやります)

洗浄したゾウリムシをスポイトで吸う

洗浄は底の方に洗い流して集めるイメージで、最後に底に集まったゾウリムシを吸い出しましょう。

ゾウリムシをスポイトで投与している様子

このようにスポイトで稚魚にそっと与えます。

ブラインシュリンプを食べられない小さな稚魚であれば稚魚水による洗浄はかなり重要になりますが、ブラインを食べれるサイズの稚魚(メダカの稚魚・針子など)であれば多少耐性がありますので、洗浄せずにそのままゾウリムシを与えても良いかもしれません。(ただしゾウリムシ培養水はなるだけ綺麗に管理すべき)

ゾウリムシを食べているクラウンウキリーの稚魚
ゾウリムシを摂食するとお腹は白く膨れる(クラウンキリー)

ゾウリムシの注意ポイント

長期の単用に注意

ゾウリムシは何らかの栄養が欠乏しているようで、長期間稚魚に単食で与え続けると大量死や生き残っても奇形が多く見られるようになります。

目安としては1~2週間続けばそのような症状が顕著に見られますので、この点は留意した上で使用すべきです。

孵化後1ヶ月のネオンテトラの稚魚と指先
ブラインシュリンプが摂食できるならすぐ切り替えること(ネオンテトラ)

水槽内で繁殖可能且つブラインシュリンプを食べれない稚魚としては、泡巣アナバス・一部カラシン科・一部コイ科などがありますが、大体1~2週間以内にはブラインに切り替えることができますのでブラインシュリンプが食べられるサイズになったら、すぐにそちらに切り替えることを強く推奨します。

(ブラインシュリンプに切り替えると明確に成長速度が上がるため、その点からもゾウリムシ単体での栄養価は良くないと感じます)

ブラインシュリンプを食べられるまで2~3週間以上かかってしまう稚魚では、ゾウリムシのみだと稚魚が正常に生育しにくいので、「ミドリムシ」などと併用して栄養バランスをとったり、「淡水ワムシ」「ワムシ(シオミズツボワムシ)」を使用するのも検討すべきでしょう。

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