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ベタ・ユニマクラータ
簡単
| 弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
|---|---|---|
| 良好 | 良好 | 良好 |
※上記はGoogleMap上での代表地域を示したものです。厳密な生息範囲ではありませんので、参考情報までに。
主な特徴

「ベタ・ユニマクラータ」は、カリマンタン島に生息する大型のベタです。
最も代表的なワイルドベタの1つであり、近縁種の「パトティ」「オセラータ」「パリフィナ」など含めて「ユニマクラータグループ」と呼称されるほど。近年、大型ベタは「マクロストマ」「sp. “アントゥタ”」が人気で隠れてはいるものの、本来こちらの方がスタンダードな大型ベタであります。
単に「ベタ」として売られている一般的な改良ベタは泡巣を作る「バブルネストビルダー」ですが、こちらは口内で卵・稚魚を保育する「マウスブルーダー」。飼育下でもその特異な繁殖行動を楽しむことが出来ます。
大きさも10cmほどと一般的なベタよりかなり大きく、「マウスブルーダーの大型ワイルドベタ」のスタンダードな魅力を感じさせてくれる魚です。




(”Long Bangun”)
YOUTUBE参考動画
YOUTUBEにアップロードされている動画のうち、種類が分かりやすいものを紹介します。
※当サイトとは関係がない第三者によるものです。動画共有が許可されたものを紹介しておりますが、権利者からの要望には真摯に対応させていただきます。
混泳・性格
動きは遅いですが、性格は荒い魚です。混泳自体は可能なものの魚種は選びます。
同グループのグラミー・ベタ・スネークヘッドなどの「アナバス類」、そして近縁グループの「シクリッド類」には、しつこく攻撃を繰り返し自分のスペースを守りますので混泳には適しません。
逆に混泳に向いているのは、遊泳層が被らず種類的にも遠いプレコやコリドラス類、遊泳層が被っても動きが早いコイ科(ゼブラダニオなど)の熱帯魚です。
後者は距離が近くなれば攻撃を試みることはあれど、動きが早いためスイッと逃げてくれます。群れて数を入れる魚であれば攻撃を散らせるのでなお良しですね。

(バルーンモーリー)
ただマウスブルーダー型ベタはその特異な繁殖行動を楽しむため、ペアのみの水槽にする人の方が多いですね。他魚がいると繁殖には邪魔になり、オスが保育を諦めてしまう可能性が高くなってしまいます。
雌雄間でも争う点に注意
ワイルドベタは基本的にオス・メスセットで販売されていますが、大型ベタである本種はメスも攻撃するので注意が必要です。
一度ペアリングが成功すればケンカはしなくなりますが、それまではメスがオスに攻撃されてヒレが裂けたり、キズができる等のことは日常的に起きます。必要に応じてシェルターの設置や水槽サイズのアップなどを行いましょう。
基本的には30cm水槽だとメスがボロボロになりやすく繁殖が困難になりますので、最低でも45cm水槽(45x30x30)は用意してあげたいところです。もちろん日頃からしっかり観察を行いましょう。
エサ
初期にのみ冷凍赤虫が必要な傾向がありますが、人工飼料には慣らしやすい魚です。
基本的に本種は現地で採取されたワイルド個体が、日本に輸送されて販売されます。
よって輸入後しばらくは人工飼料を与えても「?」という感じで、食べない傾向があります。冷凍赤虫であれば購入後でもまず食べてくれますので、購入後しばらくはそれをベースに与えて食事を確立させて下さい。
しかしながら本種は人工飼料の餌付けが容易であり、早期に人工飼料をバクバク食べてくれるようになる魚なので、さほどエサに苦労する魚ではありません。冷凍赤虫を与えてしばらく安定した後に、少しずつ人工飼料を与えていきましょう。
(もちろんお店で人工飼料をバクバク食べているなら安心ですね)
なお人工飼料のうち食いつきが良いのは「デル フレッシュフード」など嗜好性の高い粒エサでしたが、慣らしさえすれば割とどのような人工飼料でも食べてくれます。

ただし冷凍赤虫は準備しておくのがベター。
飼育ポイント
非常に丈夫な魚です。しかし水面からジャンプすることが多いのでフタを必須。
ベタ・ユニマクラータは幅広い水質に適応し病気にも強いので、飼育自体は非常に容易です。
しかしながら驚いた時や他魚から攻撃を受けた時、またエサをねだる際にもしょっちゅうジャンプしますので、水槽フタをしないと飛び出して干物になります。よって水槽フタは必須です。
ワイルドベタの中でも非常にジャンプする方なので、隙間はスポンジや綿などで可能な限り塞いでください。

繁殖
繁殖は容易で、うまく飼育していれば定期的に自然産卵します。
本種は一般的な改良ベタと異なり、泡巣ではなく「マウスブルーダー」という口内で卵を保育する繁殖形態をとります。
マウスブルーダー型のベタは、成熟した雌雄が揃っていて健康的に飼育さえしていれば定期的に産卵・口内保護を行うものが多く、本種も同様です。メスの健康・栄養状態が良ければ、2週間~1ヶ月ごとに産卵が繰り返されます。
稚魚は孵化したブラインシュリンプを摂食できる大きなサイズであるため、稚魚の育成についても難しいところはありません。
雌雄の違い
成熟したオスは頭部が大きく色彩が綺麗なのに対し、メスは横から見た時の頭部がスリムで色彩もオスほど派手にならない違いがあります。


上記は非常に分かりやすい例を出しましたが、オスは本調子でないと地味になりますし、メスも大きくなると各ヒレが伸びギラギラとした反射色も出て、オスと間違いやすいので注意して下さい。
どちらかというと上記のように分かりやすい場合の方が少ないです。

オスは卵を口に咥えるため頭部(口部)が大きいので、それも含めてチェックするのが好ましいです。
頭部の違いが見分けられるようになればより正確に識別しやすくなるでしょう。

繁殖の流れ
抱卵状態の発情したメスがオスへ繁殖アプローチを行い、オスがそれに応える形で産卵が始まります。
産卵は改良ベタと同じく、オスがメスをギュッと巻いて卵をひねり出させて産卵を行います。

目安としては1ヶ月に一度程度のスパンで繁殖しますので、結構な頻度で産むことになります。(メスは産卵から次の産卵まで10日の時もあるぐらいスパンが短いです)
オスによる卵の保育開始
産卵・抱接行為はタイミングが合わないと中々見られませんが、産卵するとオスの口部が膨れるので明確です。

産卵後は4日ほどで稚魚が孵化しますが、稚魚は大きなヨークサック(栄養玉)がついており、2週間ほどはそのままオス口内で過ごします。(孵化期間は水温により幅があります)
保育するオスに対し、メスは保育に参加しません。むしろオスの邪魔になりますので、掬いやすいタイミングがあれば取り出した方が良いです。ただしオスを刺激してしまってビビらせてしまうと保育を諦めて食卵につながりますので、無理のない範囲で行って下さい。(あくまでオスを刺激しないでメスを取り出せそうな場合にのみ)
さてマウスブルーダーのベタで最も難しいのが、いかにオスに食卵・食子をさせずに保育させるかに尽きます。このあたりに関しては長くなりますので、以下記事をご参照下さい。
稚魚の育成

うまくいけば産卵から2週間~4週間ほどでオスの口内から出てきます。
他魚がいるとオスが稚魚を吐けませんので、頃合いを見てオスを取り出して口から稚魚を回収するか、他魚を全て隔離する必要があります。

お腹にヨークサックがついており、この栄養でスクスク成長する
吐き出された稚魚は非常に大きく、初手から孵化したブラインシュリンプを食べれますのでそれを与えて下さい。
しばらくはブラインシュリンプがメインになりますが、大きくなれば刻んだ冷凍赤虫や稚魚用のフードも摂食していきますので、成長にあわせてエサを調節し育成していきましょう。

その他・補足情報
大型ベタの入門種
大型のワイルドベタに共通してみられますが、オスによるメスへのあたりが強いんですよね。そのあたりをどうカバーするかが飼育・繁殖の最大のポイントになるかと思います。

ユニマクラータは基本種ですし、これで水槽サイズや隠れ家の配置、飛び出し防止などの飼育ノウハウを掴みつつ、うまくいけば他の大型ベタに臨むのが王道ルートでしょう。
パリフィナ・パトティなどユニマクラータグループの違いを楽しめますし、高級魚であるマクロストマへの一歩にもオススメです。
補足情報ですが小型〜中型のマウスブルーダー型ベタは雌雄間の争いがない種も多く、ユニマクラータグループとはかなり性格の異なる魚です。
ユニマクラータから小型~中型のマウス型ワイルドベタはノウハウが共有できますが、小さいのからユニマクラータを飼育すると、雌雄の喧嘩で苦労しますので気をつけて下さい。

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