3匹のカラーサザエ石巻貝

カラーサザエ石巻貝

学名
Clithon. Clithon diadema (Récluz, 1841). Clithon corona (Linnaeus, 1758)
他の販売名
カラーサザエ
大きさ目安
0.7cm
価格目安
400円~500円
飼育難易度

気をつけたい

水道水では非適応水質入荷時状態悪め

混泳
全く問題なし
繁殖難易度
困難
水温目安
22~29℃(普通の熱帯魚)
適応水質
弱酸性中性弱アルカリ
良好良好
群れやすさ
群れない
分布
東南アジア

※上記はGoogleMap上での代表地域を示したものです。厳密な生息範囲ではありませんので、参考情報までに。

目次

主な特徴

多数のカラーサザエ石巻貝の定規による大きさ比較

コケ取りとしては「石巻貝」が定番ですが、その石巻貝をカラフルにしてトゲを生やした形状の貝が「カラーサザエ石巻貝」です。

石巻貝と「Clithon」属で同じくコケを食べる貝であり、、ホビーアクアリウムでは可愛いコケ取りとして知られています。コケ取り貝としては非常に小柄ながら価格が割高なため、どちらかというと小型水槽ユーザーに人気の貝です。

「カラーサザエ石巻貝」と販売されている貝は何種類かのMIXのようで、中には沖縄などの日本南西諸島にも生息する「Clithon corona(イガカノコガイ)」も混ざることがあります。ただ販売物は東南アジア産の貝が多い印象です。

カラーについては薄茶1色なものやシマシマが可愛いもの、赤みがあるものなど様々なバリエーションが見られ、個体差を楽しむことができるのも魅力の1つ。

小さくてカラフルな「石巻貝」といった印象の貝ですが、分布が主に東南アジアであるためヒーターが必要となることが多いことと、汽水貝なので純淡水だとかなり短命であるためこの点は気をつけて下さい。

YOUTUBE参考動画

YOUTUBEにアップロードされている動画を紹介します。以下はカラーサザエ石巻貝のコケ取り動画ですが、とても良くコケを食べてくれることが分かります。

※当サイトとは関係がない第三者によるものです。動画共有が許可されたものを紹介しておりますが、権利者からの要望には真摯に対応させていただきます。

コケ取り性能

茶ゴケ
C
糸状ゴケ,
アオミドロ
D
緑のスポット状コケ
C
黒ひげゴケ,
短い毛布状のコケ
D
藍藻,
シアノバクテリア
E

藍藻以外のコケを全般的に食べてくれ、他のコケ取り生物と比べると食べるコケの種類がかなり広いということがメリットです。

緑のスポット状の硬いコケ
こういった硬いコケを食べてくれるのは貝類のメリット

特にガラス面・石についた硬いコケ(緑のスポットコケなど)を食べてくれるのは、オトシンやフライングフォックス、ブッシープレコには無い強力な強みになります。

デメリットとして貝類は機動力が皆無で、石・流木やガラス面についたコケしか食べてくれず、水草についたコケなど這って登れない場所には全く役に立ちません。食べ残しも結構目立つため、水草水槽であれば他のコケ取りとの併用は必須です。

カバクチカノコガイの食痕
なお遠目では綺麗でも近くで見ると食べ残しがあるのが貝類。

とても小さい点はデメリット

「カラーサザエ石巻貝」は石巻貝と同等のコケを食ってくれますが、コケ取りとして使う場合、石巻貝と比べてサイズがひとふた回り小さい点は留意しておきましょう。

中~大サイズの石巻貝と比べると、1匹あたりの食べる量・食べる速度はかなり劣りますが、値段は結構する(石巻貝5匹ぐらい)のでコケ取り生物としてのコストパフォーマンスは悪いです。

混泳・性格

温和で混泳は問題ありません。

他の魚に攻撃することは一切なく、混泳上は全く問題ありません。

エサ

水槽内に生える藻をたべます。

水槽内に生える藻であればほぼ何でも食べますため、ある程度の照明が付いて常に藻が生える環境であればエサは不要です。

ただしコケを食い尽くした場合や元々綺麗な水槽であった場合は餓死・脱走しますので、この点には注意して下さい。必要に応じてほうれん草・きゅうり(スライス)・人参などの野菜を与える必要があるでしょう。

飼育ポイント

汽水域の貝類なので純淡水だと短命です。また脱走するので注意して下さい。

カラーサザエイシマキガイは、本来汽水(海水と淡水が混じったエリア)に住む貝類でありますため、純淡水だとどうしても短命(多くが数ヶ月以内に死ぬ)です。

おしゃれなコケ取りとして淡水水槽に導入されることが多いものの、淡水環境でならコケ取りとしてのコストパフォーマンスはかなり悪いので、この点は必ず考慮して下さい。

繁殖

困難です。

カラーサザエ石巻貝は水槽内で産卵しますが、「幼生が稚貝ではなくプランクトン(veliger)」であること「幼生は海に下って成長すること」の2点から、淡水での飼育下繁殖は困難です。

汽水性の貝類はベリジャー幼生の孵化までは論文がありますが、ベリジャー幼生の育成については未だ未知であります。

繁殖成功例

カラーサザエイシマキガイは、京都淡水フグ研究所の西村氏が汽水水槽で増えたという例があります。

狙って見る方は汽水水槽でチャレンジしてみると良い結果が得られるかもしれません。(リンク:https://x.com/Fwpuffers/status/1841433179531645243

その他・補足情報

場合によってはとにかく脱走する

脱走するカラーサザエ石巻貝
夜間に逃げる

購入した種類によってはとにかく脱走するコケ取り貝で、信じられないことですが勝手に隣の水槽に移っていたことも度々ありました。

最初の方はエサが無くなったせいかと思っていたのですが、後日茶ゴケが多く残っている水槽なのに水面から逸脱してガラス面をよじ登っていたので、正直よく分かりません。やっぱ本来は汽水なので純淡水だと嫌なのかもしれません。

ただ後に別店舗で購入したカラーサザエイシマキガイは一切脱走しなかったので、種類による差というものがあるのではないかと考えています。

あとサンゴ片を多少入れておくと脱走しない傾向があるような気がしますが、これについては未検証です。

ひっくり返っても戻れる

石巻貝はひっくり返ってしまうと周りの地形環境によっては、ずっと元に戻れず衰弱死ということが普通に起こり得ますが、このカラーサザエ石巻貝は割とあっさり元に戻ります。

ただ売られているコケ取り用の貝類というのは販売水槽でかなり弱っているモノも多いので、購入直後は弱っていることを念頭に床に正位置で置くのがベターです。これはどのコケ取り貝も共通ですね。(売り場のストック水槽がまずエサやられず放置されてるので・・・)

ブログでのレビュー/批評も歓迎!

参考文献

  1. 片野田裕亮・中島貴幸・市川志野・冨山清升. 大隅諸島における汽水および淡水産貝類相(Nature of Kagoshima Vol. 40, Mar. 2014)
  2. Furujo, Y. & Tomiyama, K. (2000). Distribution and microhabitat of coexisting two freshwater snail species, Semisulcospira libertina (Gould) (Prosobranchia; Pleuroceridae) and Clithon retropictus (Martens) (Prosobranchia: Neritidae). Venus (Journal of the Malacological Society of Japan). 59 (3): 245-260.

この記事へのコメント

  • 投稿いただいたコメントは本サイト及び関連メディア等で編集されて掲載される場合があります。
  • コメントは承認制です。
    管理者が承認するまではコメントは掲載されません。記事と直接関係ない内容や他ジャンルをけなすもの等、管理者が不適切と判断したコメントは不掲載となる場合がございます。
  • このサイトはGoogle reCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシーと利用規約が適用されます。
    This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

以上あらかじめご了承の上、投稿下さいませ。