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石巻貝
気をつけたい
弱酸性 | 中性 | 弱アルカリ |
---|---|---|
△ | 良好 | 良好 |
※上記はGoogleMap上での代表地域を示したものです。厳密な生息範囲ではありませんので、参考情報までに。
主な特徴

「石巻貝(イシマキガイ)」は、本州以南の日本~韓国~台湾に生息する体長2cmほどの小さな貝です。
ホビーアクアリウムでは昔から藻を食べる貝と知られ、値段も安価なことから比較的どのショップでも取り扱われている定番コケ取り生物となっています。
コケ取り用の貝類は他にも販売されていますが、100円程度とかなり値段が安いことと、本州以南の日本にも生息することから保温をしていない金魚・メダカ・日淡などの水槽でも活躍できることがメリット。
水槽内では卵は産みますが幼生は海水域で成長するため、嫌なスネールのように勝手に増えないことも良いポイントです。ただ産み付けられた卵は美観を損ね、固く張り付いて撤去も大変なことから人によってはこの点はデメリットになります。



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コケ取り性能
茶ゴケ |
C |
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糸状ゴケ, アオミドロ |
D |
緑のスポット状コケ |
C |
黒ひげゴケ, 短い毛布状のコケ |
D |
藍藻, シアノバクテリア |
E |
石巻貝は藍藻以外のコケを全般的に食べてくれ、他のコケ取り生物と比べると食べるコケの種類がかなり広いということがメリットです。
特にガラス面・石についた硬いコケ(緑のスポットコケなど)を食べてくれるのは、オトシンやフライングフォックス、ブッシープレコには無い強力な強みになります。


デメリットとして機動力が皆無で、石・流木やガラス面についたコケしか食べてくれず、水草についたコケなど這って登れない場所には全く役に立ちません。食べ残しも結構目立つため、水草水槽であれば他のコケ取りとの併用は必須です。
また代謝が低く、食べる量・スピードが遅いのもデメリット。
例えばセルフィンプレコだと1匹でも数日中にツルツル綺麗にしてくれるのに対し、こちらは多数入れても10日単位で見ないと明確な効果は実感しにくいですね。


コケ取りプレコなら数日で消えるので、それと比べてしまうと食べるスピードはかなり遅い。

鑑賞性が非常に求められる水草水槽では手による清掃も必須。
混泳・性格
温和で混泳は問題ありません。
他の魚に攻撃することは一切なく、混泳上は全く問題ありません。
エサ
水槽内に生える藻をたべますが、他にも色々食べます。
水槽内に勝手に生える藻であればほぼ何でも食べますため、ある程度の照明が付いてさえいれば基本的にエサは不要です。
藻だけではなくガラス・流木に付着した微生物(ヌルヌル)や、魚の食べ残し・多少のフンも食べます。餓死になるのは「他にコケ取り生物が沢山いる」「石巻貝の入れすぎ」「照明が無い」などやや限定的ですので、基本的には心配無用です。
飼育ポイント
コケ取りとして使う場合、特に気にするポイントは無いです。
あまり注意するポイントはなく飼育は容易です。
ただ水質は硬度が高くサンゴ砂や石を使った環境の方が長生きです。反面、リコリスグラミーやチョコレートグラミーを繁殖させるような超低硬度の環境では、非常に短命になります。
なおソイルを使った水草水槽でも懸念されますが、水草水槽では定期的な水換えが基本とされるためあまり問題にはなりにくいです。(水道水には硬度が適度に含まれているので)
導入時は正位置で置くこと
石巻貝はひっくり返ってしまいますと、他のコケ取り貝と比べてかなり起き上がりにくい貝です。

水槽内に投げ入れると逆さまで床に落ちますが、そのまま起き上がれずに衰弱死することも多いです。よって導入時は床に正位置で置くケアを必須として下さい。
長生きさせるなら水温を意識した方が良い
ホビーアクアリウムでは石巻貝の寿命は1~2年とされますが、これは熱帯魚水槽で飼育した場合です。
石巻貝の生息場所は「平均水温20度以下」であり冬眠も行いますため、どちらかというと冬に加温を行わない金魚や日淡水槽の方が長生きの傾向があります。また夏場の高水温にも気をつければ3年以上も普通に生きてくれます。
繁殖
困難です。
石巻貝は水槽内で容易に産卵しますが、「幼生が稚貝ではなくプランクトン(veliger)」であること「幼生は海に下って成長すること」の2点から、飼育下繁殖は困難です。
水槽内・ホビーアクアリウムでの繁殖例は聞かないことからも、繁殖には高度な専門知識と特定の環境条件が必要であり、一般的には不可能かと思われます。
その他・補足情報
本来は10~20年生きるがコケ取りとしては短命
石巻貝は貝類としてはとても長寿で、野生個体では20年生きている個体も確認されているほどです。しかし残念なことに飼育下では一般的に2年ほど。
多くが汽水域に多く生息する貝なのと、そもそも水が少し冷たく年間平均は20度切る程度※で、冬眠も行います。(※海に近い側の淀川の水温で)
熱帯魚水槽でコケ取りとして使用するなら純淡水になりますし、水温も通年25度程度と生息環境からは高めになっちゃうので、一般的なアクアリウム水槽であれば本来の寿命を全うすることはまず無理でしょう。

なお野生個体の年齢は木の年輪のように成長線を数えることで推測可能です。
(ただし冬眠するタイミングで形成されるので、熱帯魚水槽などでは年輪は作られません)
卵が美観を損ねてしまう
淡水飼育においても時おり卵(卵嚢)を産みますが人によってはこの卵、何かの虫みたいで非常に忌避感を持たれます。

しかも卵は勝手に溶けて消えたりはせず、掃除しないとずっと残ったままで、掃除するにしても固くこびりついてかなり大変。ガラスに産み付けるのはむしろ楽な方で、石の窪みに産み付けられたら本当に苦労します。
この点は石巻貝だけでなく、他の汽水域(カバクチカノコガイ・フネアマガイ等)の貝類の最大のデメリット。これにより水槽内には貝を入れない人もかなり多いです。
なお産む頻度は環境によってかなり変わります。恐らく石巻貝にとって悪い環境だと産みにくいのではないでしょうか。(低pH・低硬度)
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参考文献
- Yusuke Shigemiya, Makoto Kato. Age distribution, growth, and lifetime copulation frequency of a freshwater snail, Clithon retropictus (Neritidae).
- Furujo, Y. & Tomiyama, K. (2000). Distribution and microhabitat of coexisting two freshwater snail species, Semisulcospira libertina (Gould) (Prosobranchia; Pleuroceridae) and Clithon retropictus (Martens) (Prosobranchia: Neritidae). Venus (Journal of the Malacological Society of Japan). 59 (3): 245-260.
- CRISTIANE XEREZ BARROSO & HELENA MATTHEWS-CASCON. Spawning and intra-capsular development of Neritina zebra (Bruguière, 1792) (Mollusca: Gastropoda: Neritidae) under laboratory conditions.
- Kroum K. Hristov. Observations on Neritina turrita (Gmelin 1791) Breeding Behaviour in Laboratory Conditions.
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